"不死鳥" のなく頃に

「キコニアのなく頃に」考察【ネタバレ有】

● 本当は怖いキコニア世界 【解説編】

今回は、ホラー回である。
キコニアでは、”ヤバい” 描写が数多く登場する。
「意味が分かると怖い話」など、「考察モノ」と「ホラー」は非常に相性が良い。
このキコニアの世界もその点を大いに活用していると言える。

 

<本当は怖い1(霊素編)>
<本当は怖い2(脳スパコン編)>


「霊素の原料は人間」説

ゲーム発売当初からTwitter掲示板を騒がしていた説である。簡単にまとめてみる。

  • 霊田の場所: 紛争地域では多数の死者が出る。文明が滅んだ地域も然り。霊田の場所はそのような地域に集中しているように見えると言う指摘がある。[1]
    LATOが霊素の世界最大の産出国となったのは、過去にその大陸で、世界最多の人間の死があったことを意味するのではないか。
  • アンモニア: 8MSの消臭機能が失われた時に発生する霊素の蒸気のアンモニア臭。フラグメントの「臭い物コンテスト」では、生物の発酵とアンモニア臭の関係が強調される。[2]
    これは霊素の蒸気の臭いが、「人間」が腐敗したことで発生する臭いであることを暗に示している、と推察される。
  • ガラスの海から霊田発見: いうまでもなく、太陽弾頭により大量の人間が死んだから、であろう。[3]

シリルが告発しようとしていたこと
アフリカ霊素開発公社の名誉理事であったというシリルが、行う予定だった告発。[4]
「霊素の原料は人間」説が正しいのであれば、これよりヤバい「告発」はないだろう。実行していれば、社会的に大きな混乱が起きて、黒幕の計画に何らかの不都合が生じたかもしれない。



脳抜き工場

初見プレイヤーは、物語の中盤でいきなり出てくるグロテスクなシーンの洗礼を受ける。[5]
工場の中で、ライン吊りにされる大量の人体……選別され、加工され、生きたまま脳髄を引き抜かれる……
この工場のことを、便宜的に「脳抜き工場」と呼ぶことにする

あれは一体、何なのだろうか?
過去なのか? 未来なのか?
現実なのか? 仮想世界なのか?
疑問は尽きない。
現時点で個人的に有力と思う説を論じてみる。



脳抜き工場は何を作っているのか?

起点となるのは、セシャトが電脳チート能力を披露するシーン。[6]
地の文に次のようなものが登場する(一部抜粋)。

それは、膨大で絶大なマシンパワーを要する。
セシャトがセルコンを使って行っているならばそれは、自身の脳を使ってのはずだ。
ありえない。人間の脳みそ一つで出来るわけがない。

妙に引っかかる。
なぜ、『人間の脳みそ一つで』などという言葉が登場する?
脳みそは独立してるので、一つで無理なら、普通はいくつ寄せ集めても無理だろう。
まるで、たくさん繋ぎ合わせれば「可能」とでも言いたげなようだ。

そもそも、キコニア世界の電脳空間は、どのように構成されているのだろうか?
ハードは何なのだろうか? サーバーはどこにあるのだろうか?


ここで、次のような仮説を導入してみる。
『脳抜き工場では、人間の脳を繋ぎ合わせたコンピュータを作っている』
すなわち、コンピュータの構成要素が、生きた人間の脳みそだということである。
脳みそをつなぎ合わせることで、驚異の計算能力を実現する技術。
これを、便宜的に「脳スパコン」と呼ぶことにする。


この「スパコン仮説」を基に脳抜き工場の工程をもう一度検証してみる。

  1. 連れ去られた人民は服を溶かされ、麻酔をかけられ、色々な検査器具を通過する
  2. そして、ある段階で「選別」され、選ばれなかった人体は、肉片にされる
  3. 選ばれた人たちは、「生きたまま」脳髄を抜かれる
  • 検査と選別: 人体は何らかの指標により選別されているようである。これは、脳スパコンの部品として使えるか使えないかを判別していると考えられる(指標の例:P3値)
  • 選ばれなかった人体: 単に破棄されるのか、それとも別の利用価値があるのかは不明。「霊素の原料は人間」説を信じるなら、死体から霊素を取り出している可能性も考えられる。「手足」を取り出しているようであったが、何に使うのかは不明。
  • 脳髄を抜かれる: 「生きたまま」というのがポイントである。ただ単に人体を大量虐殺したいのであれば、生きたままとっておく必要はない。逆に言えば、生きたままということは、脳工場が単なる殺戮を目的としたものでなく、何らかの「建設」を目的としていた施設であるということを裏付けている。ここでは、生きている脳を繋いでコンピュータを建設している、と考える。




「脳スパコン仮説」で再解釈する「神のシナリオ」

物語では、何度も「神のシナリオ」なるものが登場する。[7]
その概要は、「全人類の仮想空間への移住を実現させる」というものだと考えられる。[8]
聖書の中で何千年も前から預言されていたこの計画を実現すべく暗躍している人々がいる。

少しメタ的な考察を挟むと、ルールXYZの「絶対の意思」はこの「神のシナリオ」だろう。
実際に、それはキコニアの物語の流れを作る大きな原動力となっている。

で、全人類を仮想空間に移住させるとして、その方法は? ハードはどうするのか?
自立して稼働するメンテナンスフリーの超高性能な計算機。
これにうってつけなのが「脳スパコン」である。


第18章に次のような文がある(一部抜粋)。[9]

ーーそう。人の子たちよ。これは、解放なのである。
レールに吊るされた、全身の皮膚を溶かされて苦痛に呻く人々。その人々が次々に巨大な加工機械に飲み込まれていき、肉の殻とやらから、解放されていくのである。そうして次々と、最後には脳みそとそこからぶら下がった脊髄だけの奇妙な姿に変えられていくのである。
ーー新天地には、死も老いも、悲しみも苦しみも何もない。そここそが、お前たちが様々な宗教で謳ってきた約束の地、天国そのものなのである。

ここでいう「解放」とは、「人体から脳みそと脊髄を抜かれて、仮想世界へと移住する」ことだと読み取れる。
Frag. 1では「人の脳内で仮想空間を作ることができる」という情報が提示される。[10] ならば、たくさんの脳を繋ぎ合わせることで、世界そのものを仮想空間として作ることも可能ではなかろうか?

以上より、「神のシナリオ」の全容は、「全人類の脳髄で一つの巨大な脳スパコンを作ること」だと解釈することができる。人類の脳みそは巨大な水槽の中で一つに繋がれ、人々は自分たちの脳が作り出した仮想空間の中で、永遠の命を手にするのである。



さらに意味深な文言が続く(一部抜粋)。[9]

ーーさぁ、恐れることはない、人の子たちよ。解放を受け入れ、永遠の不老不死の園にやってくるがよい。お前たちより少し先に訪れたモノたちは、すでに解放の喜びに打ち震え、永遠に苦しみのない世界での新しい生活に胸を膨らませている。
先に解放された、お前たちの妻や子供、夫や父母、兄弟たちも友人たちも、皆、お前たちが早くやってくることを待っている。

この文言によると、もう、過去に脳髄を抜き出された人たちがいるようである。すなわち、神のシナリオは、現実世界で既に進行していることになる。
すなわち、建設中の「脳スパコン」(プロトタイプのようなもの)が現実世界のどこかに存在する、ということだ。



セシャトのチート能力

「人間の脳みそ一つで出来るわけがない」ことを、サラッとやってのけたセシャト。[6]

このチート能力には色々と説明が考えられるが、ここでは一つの可能性として、彼女が「建設中の脳スパコンにアクセスする権限」を持っているという説を考えてみる。「大量の脳みそが連結された」計算能力を借用することにより、彼女は、驚異的な力を発動させることができるのだ。こう考えると、彼女の能力も万能ではなく[11]、あくまで「膨大な計算を瞬時に実行できる」というものに過ぎない、と言える。また、マリカルメンが電撃中でセシャトのセルコンを封じたシーンにも意味が見えてくる。[12] マリカルメンにセルコンを封じられても変わらず能力を発動できたのは、セシャト自身の脳でなく外部の計算機を使用していたからだ、と考えると筋が通る。



第三次世界大戦の真の目的

建設中の脳スパコンが既に存在する、という前提で、もう一段議論を進めていく。

そんなもの、いつ、どうやって作ったのか?
普通に考えて、人道的に許されるわけがない。
建設が行われたのだとしたら、絶対に極秘でなければならない。
しかし、大量の人民が急にいなくなり、表沙汰にならないことなんて有り得るだろうか?

いや、ちょうど良いイベントがある。
大量の人民が消息不明になり、都合良く世間から忘れ去られたイベントが。
第三次世界大戦」だ。


なぜ、第三次世界大戦だけ、全ての情報がうやむやで、研究することすら禁止されているのだろうか?[13] 何がきっかけで戦争が始まり、何がきっかけで終わったのかすら、一切の記録がないなんて、やはりおかしい。非常にきな臭い。記録を残さなかった「真の理由」があるのでは……?

ここで次の仮説を立てる。

  • 第三次世界大戦は、脳スパコンの製造をカモフラージュするために仕組まれた国際的陰謀である
  • 世界大戦の裏で、大量の人民が拉致され、脳工場に送り込まれていた
  • 拉致された人々は、戦争の犠牲になったことにされ、その後一切の詮索が禁止された

この説を採用すると、「脳スパコンが秘密裏に作られて現実世界で稼働を始めている」ということが、一気に現実味を帯びてくる。
また、「第3次世界大戦をめぐる歴史の研究は、特殊な研究機関において例外中の例外として認められているのみで、知ろうとする行為はそれだけで犯罪になる」という、過剰なまでの秘匿体質にも納得がいく。「特殊な研究機関」とは秘匿する側の陣営の機関ではなかろうか。


スパコンは、どこにある?

最後に、「場所」について検討する。
スパコンなんてものが現実に存在するとしたら、それはどこにあるのだろう?
全人類を移住させる電脳世界を作り出すハードを、現実世界に構築するならば、その場所はどこがベストだろうか?

まず、要請事項として

  1. 絶対に人目につかない(誰にもバレない)
  2. 不慮の事故(地震等の災害を含む)によるリスクが最小限に抑えられる

の2点を挙げておく
a.を満たす場所としては、地下や、極地(南極・高山・海底)など、いくつか候補が挙げられる。
ガントレットナイトは物理法則を無視した探索が可能なため、極地に工場を作るメリットはあまりないかもしれない。
フィーアたちのいる地下研究所の存在が、実際に世間に知られていないことを考えれば、地下と考えるのが妥当だろうか。

次にb. について。これは少し悩ましい。
本編を見ていると、地球は、大規模な地震を含む、天変地異の大災害が頻発しているようである。[14] 地震は、地下にいても防ぎきれない。

大災害が頻発する「地球上」に、もはや安全な場所など、存在するのだろうか……?
ここで、発想を転換して、一つの可能性を検討する。

「脳スパコンの設置場所は 月 である」

月という場所は、先程の要請を2つとも満たす。

  1. 絶対に人目につかない: 月は、地球に対して常に同じ面を向けている。つまり、月の裏側に工場を作ってしまえば、地球からは絶対に観測されることはない。地球上をいくら探しても、脳スパコンは見つからない。
  2. 災害によるリスク: 地球のような地殻変動がないため、地震のリスクはない。 一方、彗星や微小な小惑星の衝突(クレーターの原因)はあるが、月面から少し潜った地下にシェルターを作れば、リスク低減できるだろう、と考える。

そもそも大気がない月面上に脳スパコンを設置できるのか、という疑問は当然出てくるが、キコニアのSFの世界観は(霊素、8MS等)割と何でもありなので、とりあえず「可能」と楽観視しておく。
今後のPhaseで宇宙開発に関する情報が出てくれば、もう少し現実味を帯びてくるかもしれない。



象徴としての「月」から、物理的な場所としての「月」へ

キコニアでは「月」が、幾度となくクローズアップされている。

・終末時計の文字盤 [15]
・ラストのジェイデンのシーン [16]
・ゲームクリア後のトップ絵 [17]

旧約聖書では、世界の終わりを表している預言に「赤い月」が登場するため、この象徴としての「月」がキコニアでも使用されている、と言える。
ただし、同じく預言に登場する「暗い太陽」はあまり出てこない。
月ばかりが強調されているのはなぜだろうか。

また、ラストの青い身体のジェイデンは、月に向かって消えていく。
「月」という場所に、何か特別な意味があるように思えてならない。

「脳スパコン」が、もし、実際に「月」に建設されていたならば、

  • 終末時計盤: 人類の「月への移住」が開始するまでのカウントダウンを示している
  • ラストのジェイデン: 物理的に「月」の世界の住人となった。青い身体は、現実の身体を捨て、仮想世界への移住が完了したことを示す
  • ゲームクリア後のトップ絵: 「月」に構築された電脳世界へ、全人類の移住が完了したことを示唆している

と捉えることが可能である。



以上の「脳スパコン仮説」は、仮定の上に仮定を積み重ねているため、正答率的にはどこまで信用できるか分からない。
最後の方はあくまで憶測であり、そもそも最初の前提が間違っていたら、全て瓦解する話である。
ただ、このように推測を積み重ねることで、一つのまとまった見解を提示することはできたかと思う。今後のPhaseでの検証を待ちたい



[1] 霊田についての考察ブログ参考:
おかわりのƖ ıるきみたちへ 誰もがガントレットナイトになれる時代(鹿様)
矛盾ケヴァット つまり、地球はホンオフェ化されて、人体から霊素を発生させていたんだよ!!(春剣防具様)
[2] Frag.6 臭い料理対決!
[3] 第7章 三人の王: 前半に「ガラスの海から霊田発見」のニュースが流れる
[4] 第22章 第2次世界同時停戦
[5] 第13章 プログラムである意味
[6] 第12章 ギフト: セシャトは国際空港の監視システムに干渉し、監視映像に映っている自分の姿を全て改竄する 
[7] 第18章 神のシナリオ 他
[8]「神のシナリオ」に関する考察ブログ参考:
謎解きは世界大戦のあとで 神のシナリオとは何か(NeutralDigamma様)
[9] 第18章 神のシナリオ: 後半に出てくる何者かの独白
[10] Frag.1 仮想体験発表会
[11] 第12章 ギフト: セシャトはグレイが離反を起こしたかどうか100%の確証を持っていなかった。このことからも、セシャトが全てにおいて万能ではないことが伺える。
[12] 第12章 ギフト: マリカルメンは電撃中でセシャトのセルコンを封じた。しかし、セシャトは帰りも行きと同じように全ての電子記録を改竄していた。
[13] 第3章 お疲れ様大浴場: 「戦争の記録を残すと、相互の歴史が互いに食い違い、新たな紛争の火種になるため、第三次世界大戦の記録を残さなかった」と説明がされている(が、筆者はその説明に十分な説得力を感じていない)
[14] 第21章 塵に戻れる尊厳 ・ Frag. 9 地震復興クジ: 地震について詳細な説明有
[15] 各章の初めに出てくる終末時計
[16] 第25章 預言の刻: 最後の青ジェイデンのシーン
[17] 本編一周後に、トップ絵が「赤い月」の絵に変わる





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○ 人間の脳で作るコンピュータ  〜 本当は怖いキコニア世界 〜

こ、こんなことが許されていいのか・・・?
大量の人間が、材料のように、ライン上に吊るされてよ・・・?
服を溶かされ、選別され、肉片にされ・・・・
生きたまま脳髄を引き抜かれるなんてよぉ・・・・!!

夢だよな・・・?
妄想だよな・・・・?
まさか、現実だなんてことは、ありえないよな・・・??




ああ・・・・
分かってしまった・・・
あの工場で何を作っているかが・・・

大 量 の 人 間 の 脳 を 繋 ぎ 合 わ せ た 馬 鹿 で か い コ ン ピ ュ ー タ を作ろうとしてるんだ・・・!!

そのコンピュータの中に、全人類を移住させる、仮想空間を作るんだ・・・!!

全人類は、肉体を捨てて、仮想空間の中で、永遠の命を手に入れるんだ・・・・・・・・・・・・

巨大な脳みそのコンピュータこそが、人類を救う、ノアの方舟なんだッ!!!!











で、でも・・・!!
そんな大量の人間、どうやって集めるって言うんだよ・・・
人道的に許される訳がないだろ・・・・

やっぱり夢だったんよ・・・現実に起こっているわけなんて・・・・ない・・・・・・・



いや・・・・・・・・・・・・ある・・・・・・・・・・・・・・・・




あるじゃないか・・・・・・・・・・・
いや、あったじゃないか・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大量の人間が犠牲になって、世界から 都 合 良 く 忘 れ さ ら れ た イベントが・・・・・・・・・・・

      第 三 次 世 界 大 戦 だ よ ! ! !

あの戦争の 本 当 の 目 的 は、大 量 の 人 間 の 脳 を ひ き ぬ く た め の 世 界 規 模 の 人 民 の 拉 致 だったんだよ・・・・

戦争の記録が全然残ってないのも、詮索することすら禁止されているのも、よくよく考えてみりゃおかしいよなあああああああ!!!!!!??
人々は、戦争の犠牲になったんじゃない!!!! 実験台にされたんだ・・・・・・・・・・・・!!!!!!!!!
脳みそのコンピュータの実験台に・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!








でもさ・・・
でも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんなコンピュータ、一体どこに作るって言うんだよ・・・・・・・・・・・・
だってさ、大規模な地震とか、しょっちゅう起こってるじゃん!!
災害でコンピューターがやられたら、全人類一髪でアウトだぜ?????

やっぱり、ないんだよ・・・そんなもの・・・・
地球上に安全な場所なんて、ないんだから・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・
『地球上に』・・・・・・・・・???
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ああ、笑ってくれ・・・・・・
・・・・・・笑い飛ばしてくれよ・・・・冗談なんだから・・・・・・・・


・・・・「月」・・・・・だったりして・・・・・・・・・・・


ほら、知ってるか? 「月」の裏側って、地球からは、絶対に見えないんだぜ・・・・・・・・・・・???






そうだ・・・・・・・
み ん な 「月」 に 連 れ て 行 か れ た ん だ・・・・・・・・・
大量に拉致されたみんな・・・・・・・・・・・
「月」の裏側で、脳髄をぶっこ抜かれて・・・・・・・・・・・・・・・


そう、「大量の脳と脊髄のネットワークで作られたコンピュータ」が月の裏側に!!!!!!!!!!!!!!!!!

世界の終末、全人類は、月に作られた脳みそコンピュータの中に連れて行かれるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!









<本当は怖い1(霊素編)>

解説はこちら



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○ 霊素の原料は『人間』なんだよ  〜 本当は怖いキコニア世界 〜


夢のエネルギーだと思っていたのに・・・・・・
よく考えたら、おかしいんだよ・・・・・・

霊素が発掘される、霊田の場所が。
カシミール霊田、アトランティス霊田、レムリア霊田、LATO・・・
おい・・・・・・それって、全て、過去に紛争地域だったり文明が滅んだりした場所じゃないか・・・・?
どの土地でも、数えきれないほどの人間が死んでるんだよ・・・

これが意味すること、分かるか・・・?
そう、『人間』の死体なんだよッ!! 霊素の原料は!!!!!!
ああ、なんてことだ・・・
俺たちは、紛争で死んだ『人間』をエネルギー源にして、今の文明を作りあげていたんだ・・・!!!






ああ、なんか臭いな。アンモニア臭がする。
・・・なんで?
なんで霊素を使うと、アンモニア臭が発生するんだ?
キビヤック・・・・
シュールストレミング・・・
これは、発酵食品と、同じ・・・アンモニア臭だ・・・・・・

・・・ああ、分かった
・・・つまり、こう言うことだろ?

臭ってるんだよ!!!
発酵した『人間』の死体がッ!!!!
鼻もひん曲がるような強烈な臭いを放ちやがって!!!
俺たちは、最先端の科学技術でその臭いを消して、その事実から目を背けてきたってわけだ!!!
クソッ!! こんなバカなことがあってたまるかよ!!!!!!!!!!!!






・・・・おい、なんでだよ・・・?
なんで、今さら、『ガラスの海』から・・・
新しい霊田が発見されたんだよ・・・
教えてくれよ? なあ??

いや、言わなくても分かる・・・もうやめろ・・・やめてくれ・・・・・・・・・

死んだんだよなあああああああああああああああああああああああ!!!?
太陽弾頭で!! 数えきれない一般市民がッ!!!!!!!!!!
一瞬で蒸発したそうだ!! そりゃそうだ!! 地面すらぐちゃぐちゃのガラスに溶かす熱だって言ってたもんなあ!!!
原子・分子レベル、いやそれ以上まで分解されたんだろうよッ!!!!!
『その人』たちが、今、こうして新しいエネルギー源となったってわけだ・・・!!!
ああ、最高だぜ!!!
俺たちは戦争で、人間を殺しまくって、新しいエネルギーを作りまくってたってわけだ!!!
それが今の毎日の快適な生活を支えてるってことだ!!!!




もうやめろ。。。。。。。。。。。。やめてくれええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!








<本当は怖い2(脳スパコン編)>

解説はこちら



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● 内通者は誰だ!? 〜「クロエ裁判」で議論したかったこと〜

突きつけられる謎

物語の序盤で、ジェストレスは3人の王に、四大陣営の全てのガントレットナイトのエース部隊に第九最上騎士団の団員が潜入していることを告げる。[1] その後、ガントレットナイトの誰かが、黒幕とやりとりをしているような描写が何度も出てくる。[2] これは明らかに、「内通者を当ててみよ」というプレイヤーへの挑戦状である。

物語の終盤では、色々なキャラクターの「怪しい動き」が描かれる。

戦場で、クロエが見方であるはずのリリャに電撃をくらわせる。
「帰ったら絶対にぶっとばす!」と息巻くリリャに対し、
「いいですよ? 生きて帰れたらの話ですがね?」と怪しい笑みで答える。

は、その一例である。[3]

また、フラグメントや終盤で、『裏の顔』が描かれるキャラクター

  • ギュンヒルド:「分かりました。この世界が滅ぶに値することが。許さない。マヤを死に至らしめたヤツらを、そいつらの世界を許さない」[4]
  • コーシュカ:「やっと大嫌いだった身体を捨てられる。新しい身体、新しい世界、新しい自分を始められる」[5]

などは、並々ならぬ動機がありそうで、故に怪しい。

「内通者は誰だ?」という謎。これは、プレイヤーに明確に突きつけられている問いである。




真の内通者は「いない」

ただ、筆者はこの問いに関して、別の何かを感じた。
それは ガントレットナイト子どもたちの中に、真の内通者はいてはいけない』という直感である。

「大浴場の誓い」で、子どもたちが理想を語り合う場面がある。[6]
次の時代を作っていく、未来を背負ったガントレットナイトの若者たち。
その若者たちが、不殺の誓いを立て、そしてそれを守り抜く力を持ったならば、大人の命令や国家の思惑など、全く意に介する必要はない。世界各国のガントレットナイトが一堂に会して不殺を誓い合うシーンは、個人的にかなり胸を打たれる場面であった。深読みかもしれないが、これは竜騎士07から現代を生きる世界の若者たちへ向けたメッセージなのではないか、とさえ思えた。

同時に、この時点で、キコニアのTrue endがどういうものかも少し見えた気がした。表面上の仲良しごっこではダメなのだ。裏で動いている数多の思惑から目を背けてはいけない。全ての真相を知り、本当の敵を知った上で、もう一度、ちゃんと「大浴場の誓い」を立てなくてはいけない。そう考えると、ゲーム盤に存在意義を感じることができる。

三人一組のガントレットナイトのチーム。
互いに命を預けあえるほど信頼し会っている仲間。
一癖も二癖もあるキャラクターばかりだが、どんなキャラにも「こいつ良いところあるじゃん」と思える一面が必ず描かれていた。そんなチームの誰か一人でも裏切っていることが分かったとき、残された人たちはどう思うだろうか。どんな解決を図ったところで、心についた傷は絶対に癒えない。
あの中に裏切り者がいる結末が、True Endには成り得ないと感じた。

最終局面での都雄のセリフ[7]

人の心を信じられなくて、
平和の壁の番人を名乗れるか!!
ガントレットナイトを、名乗れるかあああああ!!! ——都雄

プレイヤーとしてもこの精神を貫きたい。



スパイ人格のインストール

以上に述べたように、ガントレットナイトに内通者がいるとは、心情的には信じたくはない。一方で、「団員を潜入」させたというジェストレスの「報告」は、現実問題として存在する。
これをどう捉えるか?


起点になることとして、一つ気になったのは、あのセリフが発せられたタイミングである。ジェストレスが三人の王に報告をしたのは、国際平和軍旗祭の開催日である。ここに若干の違和感を感じる。

四大陣営それぞれのエース部隊のメンバーが決定した時期は、いつだろうか?
エース部隊として活躍するためには、チームでの長期的な訓練が必要である。ましてや、国際軍旗祭という重要な大会を控えて、ころころとメンバーを変えるとは考えにくい。少なくとも、大会に向けて、年単位の期間でエース部隊のメンバーは固定していると考えるのが自然である。

一方、その後のジェストレスと三人の王の面会頻度を見ても、彼らは年に数回は面会している。
なぜ「団員の潜入」の報告が国際軍旗祭当日となったのだろうか?
もっと以前から確定していることではなかったのだろうか?


このような起点を基に、(やや飛躍を伴うが)一つの可能性として、次のような仮説を導入してみる。

「スパイ人格のインストール」説

  • 第九最上騎士団は、対象となるガントレットナイトに、人工知能で独自に開発した内通者の人格(以降「スパイ人格」と呼ぶ)をインストールした
  • スパイ人格のインストールは、主人格が認知できない深層心理の中で行われる
  • インストールされたスパイ人格は、主人格の隙を見て深層心理から浮上し、主人格に気付かれないように第九最上騎士団と通信をすることができる
  • 第九最上騎士団の団長は、このような人格のインストールを「団員を潜入させる」と表現した


実際に「スパイ人格のインストール」なるものが存在するかどうか、作中で示されてはいない。[8] ただ、もしそのようなことができるとしたら、それは『団員の潜入』と呼べるものであろう。この仮説が正しいとすれば、先ほど指摘したタイミングについての違和感は、矛盾なく説明できる。
第九最上騎士団は、四大陣営のエース部隊メンバーが決まった後、スパイ人格をターゲットに順次インストールしていき、国際平和軍旗祭の開催日のタイミングでそれが完了した、ということだ。

この説のもう一つの特徴は、パラレルプロセッサーが広く認知されているキコニア世界の設定を最大限に生かせるということである。ガントレットナイトの3割(一説には6割)がパラレルプロセッサーであると言われる。[9] また、互いの人格に関する情報は、プライバシー保護のため詮索しないという、暗黙の了解がある。
「誰がどんな人格を持っているか」がブラックボックスであるという状況は、新しい人格を潜りこませるのにとっては絶好の環境であると言える。

以上、「スパイ人格のインストール」説を提案してみた。
前記事 『クロエ裁判』 は、クロエが内通者だった場合の世界線について、その説を膨らませて作ってみた小話である。




内通者はどのようにして形成されるか?

ここで、少し視野を広げて、内通者が形成される様々な可能性を検討してみる。

内通者のタイプは、その形成のされ方によって、大まかに次の3つのパターンに分類される。

  1. 対象が幼少期の人格形成の段階から、内通者となるべく教育をされたタイプ
  2. 対象がある程度成長してから、説得等により内通者となることに同意したタイプ
  3. 対象の意思の如何に関わらず、催眠等の強制的な手法で内通者にされたタイプ


a. の場合、対象の人生のかなり深いところまで、内通者として生きることが植え付けられているため、この状態から「目を覚まさせる」ことは非常に難しい。
もし、このようなガントレットナイトがいる場合、説得でどうにかすることはおそらく不可能だろう。都雄たちにとっては絶望的な状況である。
また、この場合、その人物は、Phase が変わっても毎回内通者になるだろう。


b. の場合、どこかのタイミングで黒幕から対象に接触があり、対象が内通者となる「転機」となったイベントがあるはずだ。
Phase.1の終盤で、次のようなメールが提示される。(一部抜粋)[10]

メール
ーー初めまして。あなたを、この狂った世界を憂う同士と思い、お便りを送らせていただきました。
この世界に義理立てをする必要が、これ以上、ありますか? もう一度ゼロから作り直さなくては。
私たちにはその力があります。そしてあなたにもその力があります。私たちは第九最上騎士団。 ともに歩みましょう。
全ては、人類を正しく導くために。

断片的に提示される情報なので、時系列などの詳細は不明だが、このメールを素直に解釈するならば、「国際平和軍旗祭の開催日以前に、このような形で第九最上騎士団からターゲットとなるガントレットナイトへの接触があり、その後、説得などによって、対象が『内通者』となることに同意した」と考えるのが妥当である。
どのような説得をすれば彼らが仲間を裏切ることに同意するのか、現時点では度し難いが、一人ひとりに作中では明かされていない個人的な事情が設定されているのかもしれない。それらはPhaseが進めば明らかになってくるだろう。
このケースでは、誰に黒幕が接触したかによって、Phase ごとで内通者が変わる可能性がある。


c. の場合はぶっちゃけ「なんでもあり」である。
先ほど述べた「スパイ人格のインストール」説も、ここに分類される。
他に思いついた例を挙げると、
(例)『精神乗っ取りウィルス説』: 第九最上騎士団からのメールは、いかにも文章で「説得」しているように見えるが、それはブラフで、実はメールにウィルスが添付されており、ガントレットナイトがあのメールを開いた時点でウィルスに感染して精神を乗っ取られる、
など、可能性はいくらでも考えられる。
このパターンは本人の意思とは無関係なので「目を覚まさせる」という観点で言えば、最も容易である(ゲーム的に解決すれば良い)。
c. も当然、Phase ごとに内通者が変わって良い。




Phase 1の内通者とシリル暗殺犯

試しに、c.の『スパイ人格説』で、Phase 1の内通者を推測してみよう。
有力な説の一つは、「クロエ・鈴姬・スタニスワフ・リーテバイル」である。 都雄が大浴場騎士団で、グレイブモウル, COU, ABN, ACRの窓口として最も信頼していた四人が、実は全員内通者にされていたというパターンである。 四人とも、主人格は信念を持って都雄に賛同しているため、疑惑の目が向きにくい(鈴姬・リーテバイルに至っては、肉親が暗殺されるので尚更)。そこを逆手にとった真相である。


この場合、シリルの暗殺が上手く説明できる。シリル暗殺について、気になるのは次の2点。

  1. 暗殺者は、どうやってリーテバイルがシリルと面会することを知った?
    リーテバイルは面会のことは都雄にしか話していないし、気軽に口外するとは思えない
  2. なぜ、わざわざリーテバイルがシリルと面会するタイミングを狙った?
    確実に仕留めたいなら、近くにガントレットナイトなどいない方が良いに決まっている。暗殺のタイミングは他にいくらでもあっただろうに

I.については、リーテバイルが都雄以外に話していた可能性や、侍従が情報を漏らしていた可能性もなくはないし、II.については、リーテバイルに罪を着せようとしたなどの可能性もなくはないが、リーテバイル本人が暗殺者であれば、難しいことを考える必要は何もない。

その場合の犯行手順は以下のようになる。

    1. 裏人格:リーテバイルの懐に小型爆弾を隠しておく
    2. 主人格:何も知らずにシリルに会いに行く。シリルに会ったところで小型爆弾が自動でシリルを攻撃
    3. 主人格:誰がシリルを攻撃したのかすら分からない
    4. 第九最上騎士団の工作員:ドローンで建物ごと破壊

これで、暗殺犯は謎に包まれたまま、リーテバイルがいくら犯人を探しても出てこない。完全犯罪の完成である。






ルールXYZの一つ「ランダム要素」は「内通者」ではないか

最後に、メタ的な要素も含め、もう少し踏み込んだ議論をしてみる。
ルールXYZとは、竜騎士07が、ひぐらしうみねこのシナリオを作る時に基盤としたルールである。
ざっくりと「ランダム要素」「幻想描写」「絶対の意志」の3ルールがあり、それを基にしてシナリオを組み、キャラクターたちを舞台上に配置して動かすことで、各エピソードが作られたと考えられている。[11]
今回のキコニアでは、ルールXYZについては特に名言されていないが、長年の経験で確立されたシナリオ作りの手法がある以上、そこから大きく外したことはやらないだろうというメタ読みで、今回も3つのルールに相当するものが存在するであろうと推測する。

もし、内通者が強制的に作り出されているのであれば、これは、ルールXYZの一つ「ランダム要素」と上手く合致する。
すなわち、「ランダム要素 = ガントレットナイトの誰が内通者になるか」である。
ゲームマスター的な視点で考えると、これを利用して、色々なエピソードを作ることができる。

例えば、主人公の都雄が、最も信頼しているジェイデンに裏切られ絶望する展開
例えば、都雄以外の全員が内通者である、といった展開
例えば、都雄自身がいつの間にか内通者になっていた(自覚はないのに状況証拠が揃っていく)展開
・・・・・・



この推測がもし正しければ、Phase. 2以降、ガントレットナイトの裏切り者はどんどん変わっていくだろう。
怪しく見える人物は次々と増え、プレイヤーをどんどん混乱させようとしてくるはずである。
そして、「Phase. X:全員が内通者」のエピソードがやってくるだろう。

Phase. X
都雄は信じられない光景を目にする。
自分以外の全員が、自分に銃口を向けている。
都雄「おい、ふざけてる場合じゃないだろ? お前たち?」
誰も笑わない。そのことが都雄を余計に不安にさせる。何だっていうんだ? みんな一体どうしたっていうんだ??
ジェイデン「ごめんな、都雄。でも、こうするしかなかったんだ。全ては人類を正しく導くために」
そして、ジェイデンは躊躇わずに引き金を引いた。
何で、こんなことになったんだ…………もう何も…………誰も、信じられない………………!!! うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
目の前が真っ暗になる………………
みんな…………………………
ギュンヒルド…………ジェイデン……………………嘘だ………………嘘だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


負けるな都雄・・・!!





[1] 第2章 代表選手入場: 三人の王と会談するシーンでのジェストレスのセリフ(一部抜粋) 「第九最上騎士団の団長より報告が入りました。四大陣営の全てのガントレットナイトのエース舞台に、団員を潜入させることを完了したとのことです」
[2] 以下、列挙する(文章は一部抜粋)
(a) 第2章 ジェストレスへ 「親愛なるジェストレス様。  奴らにとって、空挺騎兵の少年少女たちは最も関心のあるモルモットに違いありません。このまま潜伏していればやがて、何らかの形でコンタクトがあるでしょう。何かあり次第、ご報告させていただきます」
(b) 第9章 ジェストレスへ 「軍旗歳以来、都雄は各陣営の主要ガントレットナイトに影響力を持っています。この度の彼からのメールには賛同者も多いようで、私の決定も賛同の意見が出ています。 このまま推移しますと、我が第九最上騎士団も動きに制約を受けることになるかもしれません。 ジェストレス様のご判断を仰ぎます。全ては人類を正しく導く為に」
(c) 第15章 ジェストレスへ 「またあの都雄が、おかしなことを言い出したようです。どの程度、現状に影響を与える試みかはわかりませんが、潰す気ならいつでも、密告一つで簡単に潰せるでしょう。 ジェストレス様の仰る通り、当分は泳がせても良いかと思います。ひょっとしたら、うまく利用する機会もあるかもしれません。 当分は様子を見つつ、都雄の騎士団に表向きは賛同する形を取るように致します。 全ては、人類を正しく導くために」
(d) 第22章 第九最上騎士団団長へ 「団長閣下。例の、シリル・ネイハンティン・アフリカコモンウェルスレルムの暗殺許可を。 小物かもしれませんが、仮にもLATOに臨時理事を打診された男です。 万一、妙なことが都雄に伝われば、本当に厄介を起こしかねない危険性があります」 直後、団長は暗殺の許可を出す。
[3] 第25章 預言の刻: 終盤、ギュンヒルドのシールドが出ない~都雄と鈴姬と肉弾戦 の間に出てくるシーン
[4] Frag15. グスタフソン員数外少将: 最後にジェストレスが呟くセリフ
[5] 第25章 預言の刻: エンディング後のコーシュカのシーン
[6] 第3章 お疲れ様大浴場: ガラスの海を見た子どもたちが語り合うシーン
[7] 第25章 預言の刻: エンディング直前、鈴姬と戦闘中の都雄の発言
[8]第13章:青都雄のセリフに「人格のインストール」という言葉がでてくる。
「君は人格なんかじゃない。プログラムなんだよ。だから、僕という新しい人格がインストールして追加されたって、何もおかしいことなんかない」 ただ、このセリフは、『都雄が(文字通り)プログラムである』ことが前提なので、本文の仮説とはやや意味合いが異なる。
[9] 第4章 パラレルプロセッサー: ジェイデンとミャオの会話のシーンの地の文
「一説には、著名なガントレットナイトの3割(一説には6割とも)は、この特殊な、先天性多重人格者であるという」
[10] 第25章 預言の刻: スタッフロール後、コーシュカ独白の後
[11] ルールXYZについて
ひぐらし: ゲーム本編(皆殺し編)でルールXYZについて明言されている
うみねこ: コミケ配布小冊子にルールXYZについての記述有
ルールXYZについての考察ブログ参照:
ちょびっと感想書くだっと キコニアルールXYZについて その1(じぇびる様)
ちょびっと感想書くだっと ルールXYZについて(Part2)(じぇびる様)
うみねこのなく頃に考察 境界より視やる ルールXYZ(フラット・ホームズ様)







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○ クロエ裁判

裁判が開廷された。
青髪の検事と、赤髪の弁護人。
そして、被告人の席には、クロエが立っている。

判事
「静粛に! これより、裁判を開廷する」

判事は、罪状を読み上げる。

判事
「被告人、クロエ・アイアンサイドは、AOUガントレットナイトを裏切り、 多数の死傷者を生み出す原因を作った『内通者』である」

 

クロエ
「わ、私は、内通者なんかじゃありませ……」

 

検事
「いいえ、あなたは内通者ですッ!!」

被告人の言葉にかぶせるように、検事の席から威勢の良い声が上がる。
皆の注目を集めると、青髪の検事はニコリと笑みを浮かべ、優雅にお辞儀をして見せた。

検事
「初めまして、皆様ごきげんよう。私は一なる真実を追い求める検事。
今日は、被告人の罪を、この場で徹底的に洗いざらい暴いて差し上げましょう。 さあ、まずはこの証拠をご覧なさい」

検事が指を鳴らして合図をすると、提出された証拠映像が流れる。




戦場で命がけの戦いをするリリャとクロエ。仲間であるはずのリリャに、クロエが突然、電流を流す。

リリャ
「や、やめろ!! 電流流すの、やめろぉ!!! クロエ、テメェ、帰ったら絶対にぶっ飛ばす!!」
クロエ
「クスクス。いいですよ? 好きなだけぶっ飛ばしてくださいね。 生きて、帰れたらの話ですがね?」
リリャ
「クロエえええええええええええ!!テメエええええええええああああああああああああ!!!」

クロエが怪しげな笑みを浮かべ、リリャにミサイルが接近したところで、映像は途切れた。


クロエ
「ち、違います……!! これは何かの間違いです……」

 

検事
「これほど決定的な証拠を見せられても、まだシラを切れるとは。
さすがですね。でも、それも時間の問題です。
あと数手ほどで、すぐに詰めて差し上げます。
次の証言をご覧ください!」

検事は次なる証拠を提示する。
それは、第九最上騎士団団長による『四大陣営の全てのガントレットナイトのエース部隊に団員を潜入させた』という証言であった。

検事
「このように、各エース部隊に必ず内通者がいるということは、ちゃんと第九最上騎士団団長より証言されています。AOUの内通者が『あなた』である、という状況証拠はそろっているのです!!」

 

クロエ
「違う…………私じゃない…………うぅ……」

震える声で否定するクロエを全く意に介さず、検事は意気揚々と話を続ける。

検事
「私は、あなたの経歴を調べてみました。
あなたは、AOUカナダのガントレットナイト訓練施設の出身でしたね。訓練生としてのあなたは当初、成績最下位の使い捨てのコマでしかなかった。ところが、ある日突然、評価基準が変わったことで、急にトップの成績となり、いつの間にか、エース部隊への入隊が決まっていた。
…………このことから何が考えられるでしょうか?
そう! 第九最上騎士団が、あなたを内通者として施設に潜り込ませ、エース部隊に入隊させるよう裏で糸を引いていた、ということです。
彼らは外部から秘密裏に干渉し、あなたがトップとなるよう『評価基準を変えた』のです。
つまり、あなたの地位は、実力で掴み取ったものではないッ! 努力でも才能でもなく、初めから敷かれていたレールに乗っていただけ!  あなたのこれまでの人生、経歴、その全ては、第九最上騎士団に御膳立てされた『茶番』だったのです!!」

 

クロエ
「ひ…………ひどい……………嘘……………だ…………………」

自分の人生の全てを否定され、クロエは目に涙を浮かべて下を向く。憤りと悲しみで全身は震え、立っていることすらままならない。 そんな様子を見た検事は、自分の推理が相手の心に突き刺さっている手応えを感じて、満足げに微笑む。

検事
「いかがですか皆様? 灰色の脳細胞を持つ検事は、被告人の経歴を見ただけで、この程度の推理が可能です。ふふふ、ですが一番盛り上がるのはここからですよ。
…………みなさん、クライマックスへの準備は出来ていますか?
さあ、お見せしましょう!!!! 『真実の力』をッ!!!!」

そして、スポットライトを浴びるように両手を広げ、検事は 赤 字 で こう宣言した。


『クロエは、AOUガントレットナイトの裏切り者である』


それは、この裁判では、この決定的な事実が覆らないことを意味していた。
そう。これは『クロエが裏切り者である』場合のカケラ世界
この裁判で問題とされるのは、「クロエが内通者かどうか」ではなく、「クロエが内通者であったことが確定した上での罪の重さ」なのである。

クロエ
「そ、そんな………………………………」

絶句してその場に凍りつくクロエ。 検事は高らかに笑い声を上げた。狂気をも思わせる笑い声が、広いホール全体に何度もこだまする。

判事
「検事! 静粛に!!」

 

検事
「おっと失礼、少々興奮しすぎてしまいました。
ああ、真実が確定しているのって、なんて気分がいいのかしら!!
さあ、いよいよ最後の詰めです。まとめに入りましょう。
第九最上騎士団に内通者として育てられた被告人は、騎士団の暗躍により、まんまとAOUガントレットナイト代表の座を得ました。
そして、都雄の理念に賛同するふりをしながら、裏で第九最上騎士団団長やジェストレスと連絡をとり、皆と交わした不殺の誓いを破って裏切ったのです。被告人の裏切りによって何人もの
ガントレットナイトたちが犠牲になりました。いや、その後の破滅的展開を見れば、全人類が犠牲になったと言っても過言ではありません!!
最後まで罪を認めようとしない往生際の悪さからも、反省しているようには全く見えず、情状酌量の余地もなし!!
よって検察側は、被告人に、極刑【無限カケラ世界への島流し】を求刑します。
これにてQED!! チェックメイトですッ!!!!

検事は力強く、そう叫んだ。
一切の反論の余地がない、美しいほど完璧な論理に、異を唱えるものはいない。
会場はシンと静まり返る。



絶望のどん底に沈められたクロエは、その場にへたりと座り込んだ。




クロエ
「もう、何が正しいのか分からない………………私は罪を認めるしか…………」






目を閉じてクロエがそう呟いた時、弁護人席から声がした。












弁護人
「…………駄目だ…………全然駄目だぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一同 「!!」

 

 

 

 

弁護人
「待たせたな、クロエの姉ちゃん。 安心しろ、俺が付いているぜ!」



そう言って、赤髪の弁護人は被告人にニッと微笑みかけた。 彼は、両手をバン!!と台に叩きつけて言い放つ。





弁護人
「弁護人は、被告人の【無罪】を主張する!!!!」

その言葉に、会場がざわつく。





検事
「ちょっと待ってください!!  む、無罪ぃ!?
さっき、私が 赤 字 で 確定させたこと、聞いてましたよね??
被告人が裏切った、という事実は、絶対に覆らないのですよ? 
それなのに無罪を主張するというの!?」

 

弁護人
「ああ。これからそれを証明してみせてやるぜ!」

 

検事
「お、面白いッ!! やれるものなら、やってみなさいッ!!」

検事と弁護人は視線でバチバチと火花を散らす。
弁護人は振り返り、悠然とした動作で一同を見渡した。

弁護人
「じゃあ、始めるぜ。
まず、みんな、パラレルプロセッサーという言葉を知っているか?
ガントレットナイトにとって必要不可欠な並列処理の能力を持つ人たちのことだ。
このパラレルプロセッサーは、一般的に『複数の人格』を持つといわれている……」

 

検事
「なるほど、読めました!! あなたは、つまり、こう言いたいんでしょう? 犯行を行ったのは、あくまで『別人格』の人間であって、今そこに立っている被告人の人格とは限らない、と」

 

弁護人 「ああ、そうだぜ」

 

検事
「なるほど、その情報は私も知っています。
弁護人の言う通り、被告人には2つの人格がいるようです。
一人は、正義感の強い真面目な女の子の人格で、もう一人は、腹黒い笑顔を見せる歪んだ人格、通称『黒エ』。

あなたの言うとおり、犯行を行ったのは『黒エ』であって、今、そこに立っている『クロエ』ではない、と。そう主張することもできるでしょう」

 

クロエ 「あの…………」

 

検事
「しかし!! そんな暴論がまかり通って良いのでしょうか?
『クロエ』も『黒エ』も、元を辿れば同じ被告人を構成する人格なのです。どちらの人格だとしても、彼女が罪を犯したということには何ら変わりない!!
そんな手で罪から逃れようなんて甘すぎですッ!!」

 

弁護人
「ちょいと待ちな…………俺は、そもそも『クロエ』と『黒エ』が別の人格だ、なんて一言も言ってないぜ?

 

検事
「な!? 一体、何が言いたいの!?」

 

弁護人
「今言った通りどっちも同じ人格だということだ。そうだよな? クロエの姉ちゃん」

 

クロエ
「そ、そうです…………あの、私、ときどきあんな性格になるんですけど。 あれ、別に多重人格とかじゃなくて、あの、キャラ的な要素といいますか、そういうもので…… あの、紛らわしくてすみません……」

 

弁護人
「謝ることはないぜ。 人にはそれぞれキャラクターっつーものがあるんだからよ。 裏の顔を持つ真面目な女の子、ミステリアスで素敵じゃねぇか!」

 

検事
「キャ、キャラですって……!? じゃあ、一体全体どういうことなんですか!?」

 

弁護人
「ああ、話がそれちまったな。つまり、俺の主張はこうだ。
内通者は、被告人の元々の人格ではない。 外部に『作られた』人格なんだ!!
第九最上騎士団は、被告人に『スパイ人格』をインストールした!!

 

検事
「はぁ? スパイ人格をインストールぅぅう?? 何ですかそれ??

 

弁護人
「あり得ない話じゃあないぜ? 全てが電脳化されているこのキコニア世界、人格がハッキングされたっておかしくはないだろ?
人工知能で作られた人格が紛れ込んでいたって、端から見りゃ区別はつかない。それに思い出してみろ、あの環境をよ。ガントレットナイトのほとんどがパラレルプロセッサーであり、さらに、お互いの内部の人格について詮索するのはマナー違反だという暗黙の了解がある。
これは、スパイ人格を潜入させるのに、まさにうってつけの環境じゃあねえか!!

 

検事 「な…………!?」

 

弁護人
「第九最上騎士団は、クロエの姉ちゃんを『スパイとして育てた』とは一言も言っていない。
『団員を潜入させた』という表現を使っているんだ。
これは人工的に作った『スパイ人格』の団員をターゲットに『潜入させた』という風に捉えることも可能じゃあないか?
もしそうだとしたら、クロエの姉ちゃんのオリジナルの人格は、無実の可能性があるってわけだ。 よって、今、被告人に有罪判決を下すのは時期尚早!! 証拠不十分により『無罪』ってことだ!!!
これが弁護側の主張だぜ!!」

 

検事
異議ありッ!! あなたらしいトンデモ理論ですね!
……いいでしょう。100歩譲って、そんな、『スパイ人格』なるものが存在したとしましょう。
でも、だからなんだって言うんですか? それでも『クロエが内通者である』という事実は変わりません! それは、今後のエピソード、Phase2でも3でも、クロエはAOUを必ず裏切るということッ!!
この場できっちりと制裁を下しておくべきです!!」

 

弁護人
異議ありッ!!! それは大いに違うッ!!
今回、クロエの姉ちゃんがスパイにされたことと、今後のエピソードがどうなるかは、まったくの別物だぜ。
(以下うみねこなく頃にのネタバレ有のため反転)現に、前作『うみねこのなく頃に』でも、エピソードごとにゲーム盤の『共犯者』は変わっているッ!!!!!!
今回、クロエの姉ちゃんが裏切り者にされたのは、偶然サイコロの目が彼女を選んだ。それだけのこと!
彼女が毎回必ず裏切り者になるという保証など、どこにもありゃしねぇッ!!
今後のPhaseでは、全く別のガントレットナイトが裏切り者になる可能性だって、十分に残っているんだ!!

 

検事
「くぅッ! そんなメタ推理を持ち出してくるなんて反則です!! 前作と今作が同じ保障なんてどこにもありません!!!! 第一、そんな証拠もないのに!!!!!

 

弁護人
「……ああ、確かに、証拠は不十分かもしれねえ。
だけど、彼女が『間違いなく有罪』だいう証拠もねぇ!!
だってよ…………もし、スパイ人格がインストールされたのだとしたら、そいつを『アンインストール』することだってできる、と考えるのが道理じゃねぇか。
これは、クロエの姉ちゃんだけじゃなく、疑惑の目を向けられる可能性のある全てのガントレットナイトたちに言えることだぜ。
俺たちは、信じないといけねえ…………
ガントレットナイトの若者たちが、皆で語り合った理想の世界を必ず実現できる、ということを!!
本心の部分では、誰も裏切りなんて望んでいないんだ。そう信じたい。いや、きっとそうなる!! そう、これは弁護なんかじゃない!! 『予言』だッ!!
ガントレットナイトは、誰一人欠けることなく、誰一人裏切ることなく、全員で結束して生還するエンドを迎える!!』
俺たちプレイヤーがそれを信じてやれなくて、一体どうするってんだッ!!!!!!

 

検事
「ぐ…………………………」

検事、勢いがそがれたように口をつぐむ。



クロエ 「………………」





再び、静まり返る会場。





判事が口を開き、判決を下した。

判事
「判決!! 今回の被告人クロエは、間違いなくAOUの内通者である。
しかし、それは、外部に作られた別人格の可能性が否定できず、 また、違う
世界線で、この結果が必ず繰り返されるとも保障できない。
そのため、最終的な結果が観測されるまで、この裁判所を、一時的に『猫箱の中』へ閉じ込めることとする! これにて閉廷!!!!!








…………さて、クロエは無罪か有罪か?

…………弁護人の『予言』は当たるか外れるか?


現時点で真相は『猫箱の中』である。








解説はこちら



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● キコニアのなく頃に ~ "アンフェア" なゲームの面白さ~




さあ、考察を始めよう

いや

「妄想」を始めようじゃないか







アンフェアなゲームの面白さ 

キコニアのなく頃に Phase 1 の難易度は「かなりの上級」。


竜騎士07が、難易度上級と銘打つとき、それは、
「十分な情報が開示されていない」=「プレイヤーにとってアンフェアなゲーム」
であることを意味する。



過去の「なく頃に」シリーズを思い出してみよう。
ひぐらしうみねこ、ともに序盤の難易度は最上級である。

ひぐらし鬼隠し編」で、
疑心暗鬼を増幅させる寄生虫」と「それを軍事研究する国家機関」の存在など、誰が言い当てることができただろうか?

うみねこ序盤で、
惨劇を生み出した元凶は「祖父とその愛人の娘との間に生まれた三重人格者の失恋」であった、と誰が言い当てることができただろうか?

おそらく、もし真相を言い当てた人がいたとしても、「そんなことどこにも書いていない」「根拠がない」「妄想乙」と、袋叩きにされて終わっていただろう。「なく頃に」シリーズは、基本的に最初から情報がかなり足りない。プレイヤーにとっては、非常にアンフェアなゲームなのである。




しかし、「アンフェアなゲーム」だからと言って「つまらない」ということは決して無い。
手掛かりが不十分な状態とは、裏を返せば、「考察の自由度が果てしなく高い」ということである。
そのおかげで、プレイヤーは、散りばめられた手掛かりから、いろんな可能性に思いを巡らして、妄想を膨らませることができる。 この過程が一度ハマるとやめられなくなるほどに面白い。


考察サイトを漁って、色んな人の意見をぼんやりと眺めながらあれこれ妄想するだけでも楽しいし、 自分で集めた情報を取捨選択したり、組み合わせたりして遊ぶのも楽しい。
そうこうしている内に、「あれ⋯⋯もしかして?」と、ふと何か思い付いた時の、ゾクッとする感覚はたまらないものである。 その価値は、自分の考えが正解だろうと不正解だろうと変わりはしない。
むしろ「公式より自分が考えた説の方が面白い」ということすらある。そうなれば、もう立派な「なく頃に」プレイヤーだ。


そして、エピソードが進み、手掛かりが増えていくにつれて、次第に可能性が絞られていき、単なる妄想だった仮説が、少しずつ説得力を帯びていく。 これがもう一つの楽しみである。
全エピソード終わった後に、自分の中で一つの真相を持って、もう一周、初めからプレイしてみる。 すると、物語の見え方がガラリと変わる。 同じシーンなのに、同じセリフなのに、真相が見えた後で見返すと印象がまるで違って見える。
「このキャラクターこんな思いでこのセリフ言ってたのか」と、最初何でもないと思っていたシーンでいつの間にか泣いている。 それはもう、言葉では言い表せないほどに面白いのだ。


筆者はそのようにして、このアンフェアなゲームの「沼」にどっぷりと沈められた。





 キコニア Phase 1 感想 

そして、今回の「キコニアのなく頃に」


Phase 1 プレイ後の、率直な感想は「あの『なく頃に』が帰ってきた…」であった。

・物語の終盤にかけて、これでもかと大量に投下される「謎」ラッシュ
・中盤に突然挿入される背筋の凍るグロテスクで不可解なシーン
・世界構造そのものを疑わせる思わせぶりなセリフの数々
・勢いゴリ押しで強制的にワクワクさせられるラスト
・・・・・・


まさに期待以上の手応えであった。
また「沼」の中にどっぷりと浸かってしまった。抜けようとしてももう遅い。
潔く諦めて、この「沼」を、思う存分楽しむことにする。





 本ブログの方針 

本ブログの方針について述べておく。


前述の通り、難易度は「かなりの上級」。
Phase 1 で与えられた情報から全ての謎が解けるとは思わない方が良い。
今後のPhaseで初めて登場する人物が物語の鍵を握っていたり、新しい要素が追加されてやっと真相に近づくことができる、ということは十分考えられる。


手堅くいくならば、Phase 1 の時点で確実に言えそうなことから考察を進めるのが定石だろう。基本的にはその方針に異論はない。 しかし、それだけに留めてしまっては、せっかくの自由度を生かした大胆な推理ができない。

そこで、本ブログでは、現時点では十分な手掛かりが提示されてはいなくとも、自分が「面白い」と思える範囲まで、考察の幅を広げてみる。 妄想が多分に入り込むが、むしろ積極的に利用して、現在与えられている情報以上の領域まで解釈を試みる。 また、今後の Phase でどのような展開があり得そうかも可能な限り予想してみる。


もちろん必然的に根拠には欠しくなる。
独断や偏見・メタ推理など『不純物』が入り込むので、純粋な「推理モノ」としての考察からは程遠くなるかもしれない。 しかし、「もし、こうだったら面白い」というアンテナを色々と張り巡らしておくことは、個人的に悪くないことだと考える。 真相を言い当てることはできなくても、核心となる部分の近くをかすめることぐらいは可能かもしれない。



推論は、「点」ではなく基本的に「面」で放つ。
推理の「弾幕」を撃つように考え得る可能性を全て列挙する。
これが「なく頃に」のゲームをプレイする時の作法である(と筆者は考える)。

とはいえ、ゲームマスターは明確な答えを用意しているのである。
風呂敷を広げっ放しで「どれか当たればラッキー」というのでは面白くない。

そこで、列挙した可能性の中から、最も有力な(面白そうな)ものを選び、
それを元にした一本筋の通った解釈を、現段階での私的見解としてまとめることにする。

あくまで、筆者の個人的な見解であり、他人に強要するものではない。
「解釈違い」だという方も、「ふーん、まあ可能性としてはなくもないかもね」くらいに大目に見てほしい。




「妄想で再解釈したキコニア世界」 そこにはどんな景色が見えるだろうか?



さて、素材はそろっている。
どれだけ美味しく「料理」できるだろうか。

他愛もない妄想ではあるが、しばしお付き合いいただきたい。







● 筆者プレイ歴

2017年 うみねこのなく頃に(出題編・散・翼:原作PCゲーム)、最終考察 うみねこのなく頃に(Keiya著)、うみねこ Ep.8(漫画版)
2018年 ひぐらしのなく頃に(出題編・解・礼:原作PCゲーム)、最終考察 ひぐらしのなく頃に(Keiya著)、雛見沢停留所(漫画) 、彼岸花の咲く頃に(PCゲーム)、ローズガンズデイズ(PCゲーム)
2019年 キコニアのなく頃に(Phase 1・steam版)、竜騎士07インタビュー(本)





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