"不死鳥" のなく頃に

「キコニアのなく頃に」考察【ネタバレ有】

● 妄想で再解釈したキコニア世界 (Phase 1)

最後に、これまでの考察をまとめて、一つの物語にまとめる。
これは、Phase 1 の謎に対する現時点での筆者のなりの回答である。

最初の記事で断った通り、正答率はさほど重視していない。
「こうだったら面白いかも」という可能性の提示に過ぎない。
皆様の考察・妄想のきっかけの一助となれば幸いである。


では始めよう。「妄想により再解釈したキコニア世界」の物語を。






「神のシナリオ」が完了して1000年が経過した世界。全人類の脳は、月面上で一つに繋がれ、巨大なコンピュータを形成していた。脳スパコンの一部となった、藤治郎の脳は、過去の真相を突き止め、「神のシナリオ」を回避するルートを探索するために、A3Wを再現した仮想世界を生み出した。藤治郎の脳は『母』となり、自分の駒として『都雄』にプログラムを埋め込んだ。真相がわかった時に、『都雄』のプログラムを発動させ、自分たち脳スパコンごと全てを破壊させるために。

〜ここから、仮想世界内の話(Phase 1)〜

仮想世界で、都雄は女の子として生まれ、男として育てられる。親友ジェイデンとの友情・恋愛で揺れ動く心から、架空の人格「ミャオ」を作ったりしながらも、正義感の強い真っ直ぐな若者に育っていく。ところが、仮想空間のバグとして生まれた青都雄が、都雄に現実世界の話を持ち出して「預言」をする。突然の出来事に都雄は混乱する。仮想空間のプログラムを運営するケロポヨは、青都雄の存在に気付き、プログラム管理者である『母』に報告する。

一方、世界では、神のシナリオ「推進派」と「阻止派」の戦いが始まっていた。神のシナリオ「推進派」は、第三次世界大戦の国際的な陰謀で人民を拉致し、月面上に脳スパコンの建設を始めていた。対する、神のシナリオ「阻止派」の藤治郎・セシャト・3人の王たちは、世界のどこかに存在する推進派を見つけるために奔走していた。貧民街で育ち、一般人に対して強い復讐心を持つようになったギュンヒルドは、不断の努力で軍の高官の地位を得て、「人口を減らし、文明をリセットする」という理念を持つ、3人の王の役職を継承した。
藤治郎は、ジェストレスとして3人の王に仕え、その人脈と権力を上手く利用して、世界情勢を裏からコントロールしていた。また、停戦協定を結ぶ会場では自らテロを起こし、第四次世界大戦を誘発するためのを工作を行った。彼ら「阻止派」の狙いは、神のシナリオの原典である「聖イオアンニスの黙示録」に書いてある通りの災害を起こすことで、対戦相手である神のシナリオ「推進派」の動向を炙り出すことである。
目論見通り、「推進派」は動き出した。地下研究所が、環境型8MSの動作を停止させ、地球は大混乱に陥った。藤治郎・セシャトは、地下研究所の在り処を探しているが、簡単には見つからない。地下研究所は、科学者たちが人工的に作った仮想空間内にあるためである。神のシナリオに魅了された聖櫃騎士団の科学者たちは自分たちの脳を連結して計算機を作り、地下研究所という仮想空間を生み出した。彼らは、データ通信を介して、地球上の8MSに影響を与え、災害を引き起こしていた。

世界各国の一般人は、神のシナリオ「推進派」と「阻止派」の戦いに巻き込まれ、戦争・環境破壊・食糧危機など、次々と襲い掛かる災害に苛まれる。結束を固めようとする世界のガントレットナイトの若者たちも、裏で渦巻く陰謀によって、内側から切り崩される。知らず知らずの内にスパイ人格をインストールされ、内通者となり、黒幕に情報を提供していたのである。都雄が、結成した騎士団の窓口として信頼していた、クロエ・鈴姬・スタニスワフ・リーテバイルの4人が内通者にされていた。リーテバイルのスパイ人格は、主人格の気付かぬ内に、「霊素の原料は人間だ」と世界に告発しようとしていた兄シリルの暗殺を行った。クロエのスパイ人格は、戦闘中のリリャに電撃を流し殺害しようとした。しかし、リリャは「粘土の少女」の能力により死亡することはなかった。
鈴姬は、藤治郎によって暗殺された祖父の敵を討つため、地下研究所と協力し、金色のガントレットを入手した。鈴姬と都雄は肉弾戦を繰り広げたが、藤治郎の介入により都雄のプログラムが動作し、鈴姬は死亡した。ギュンヒルドも3人の王としての役目を終えたため、藤治郎により消される。現実世界で都雄に殺されるはずだったコーシュカは、Phase 1 では違うルートを辿った。「パンドラの箱」の能力覚醒により、肉体と精神を切り離し、仮想空間への移住を成功させたのだ。
藤治郎は、仮想空間の中で黒幕を見つけかけたが、追い詰めることはできなかった。その後、最終的に「神のシナリオ」の阻止はできず、都雄・ジェイデン含む全人類は、脳を抜き取られ、仮想空間の住人となった。こうして、Phase 1 では、『母』である藤治郎の脳の求めた結果は得られなかった。

仮想世界は一度全てリセットされ、さらに悠久の時が流れる。
そして、次こそはという望みをかけ、再び、A3Wの仮想空間が生み出されるのであった……(Phase 2 へ続く)









一問一答 100問



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