"不死鳥" のなく頃に

「キコニアのなく頃に」考察【ネタバレ有】

● キコニアのなく頃に ~ "アンフェア" なゲームの面白さ~




さあ、考察を始めよう

いや

「妄想」を始めようじゃないか







アンフェアなゲームの面白さ 

キコニアのなく頃に Phase 1 の難易度は「かなりの上級」。


竜騎士07が、難易度上級と銘打つとき、それは、
「十分な情報が開示されていない」=「プレイヤーにとってアンフェアなゲーム」
であることを意味する。



過去の「なく頃に」シリーズを思い出してみよう。
ひぐらしうみねこ、ともに序盤の難易度は最上級である。

ひぐらし鬼隠し編」で、
疑心暗鬼を増幅させる寄生虫」と「それを軍事研究する国家機関」の存在など、誰が言い当てることができただろうか?

うみねこ序盤で、
惨劇を生み出した元凶は「祖父とその愛人の娘との間に生まれた三重人格者の失恋」であった、と誰が言い当てることができただろうか?

おそらく、もし真相を言い当てた人がいたとしても、「そんなことどこにも書いていない」「根拠がない」「妄想乙」と、袋叩きにされて終わっていただろう。「なく頃に」シリーズは、基本的に最初から情報がかなり足りない。プレイヤーにとっては、非常にアンフェアなゲームなのである。




しかし、「アンフェアなゲーム」だからと言って「つまらない」ということは決して無い。
手掛かりが不十分な状態とは、裏を返せば、「考察の自由度が果てしなく高い」ということである。
そのおかげで、プレイヤーは、散りばめられた手掛かりから、いろんな可能性に思いを巡らして、妄想を膨らませることができる。 この過程が一度ハマるとやめられなくなるほどに面白い。


考察サイトを漁って、色んな人の意見をぼんやりと眺めながらあれこれ妄想するだけでも楽しいし、 自分で集めた情報を取捨選択したり、組み合わせたりして遊ぶのも楽しい。
そうこうしている内に、「あれ⋯⋯もしかして?」と、ふと何か思い付いた時の、ゾクッとする感覚はたまらないものである。 その価値は、自分の考えが正解だろうと不正解だろうと変わりはしない。
むしろ「公式より自分が考えた説の方が面白い」ということすらある。そうなれば、もう立派な「なく頃に」プレイヤーだ。


そして、エピソードが進み、手掛かりが増えていくにつれて、次第に可能性が絞られていき、単なる妄想だった仮説が、少しずつ説得力を帯びていく。 これがもう一つの楽しみである。
全エピソード終わった後に、自分の中で一つの真相を持って、もう一周、初めからプレイしてみる。 すると、物語の見え方がガラリと変わる。 同じシーンなのに、同じセリフなのに、真相が見えた後で見返すと印象がまるで違って見える。
「このキャラクターこんな思いでこのセリフ言ってたのか」と、最初何でもないと思っていたシーンでいつの間にか泣いている。 それはもう、言葉では言い表せないほどに面白いのだ。


筆者はそのようにして、このアンフェアなゲームの「沼」にどっぷりと沈められた。





 キコニア Phase 1 感想 

そして、今回の「キコニアのなく頃に」


Phase 1 プレイ後の、率直な感想は「あの『なく頃に』が帰ってきた…」であった。

・物語の終盤にかけて、これでもかと大量に投下される「謎」ラッシュ
・中盤に突然挿入される背筋の凍るグロテスクで不可解なシーン
・世界構造そのものを疑わせる思わせぶりなセリフの数々
・勢いゴリ押しで強制的にワクワクさせられるラスト
・・・・・・


まさに期待以上の手応えであった。
また「沼」の中にどっぷりと浸かってしまった。抜けようとしてももう遅い。
潔く諦めて、この「沼」を、思う存分楽しむことにする。





 本ブログの方針 

本ブログの方針について述べておく。


前述の通り、難易度は「かなりの上級」。
Phase 1 で与えられた情報から全ての謎が解けるとは思わない方が良い。
今後のPhaseで初めて登場する人物が物語の鍵を握っていたり、新しい要素が追加されてやっと真相に近づくことができる、ということは十分考えられる。


手堅くいくならば、Phase 1 の時点で確実に言えそうなことから考察を進めるのが定石だろう。基本的にはその方針に異論はない。 しかし、それだけに留めてしまっては、せっかくの自由度を生かした大胆な推理ができない。

そこで、本ブログでは、現時点では十分な手掛かりが提示されてはいなくとも、自分が「面白い」と思える範囲まで、考察の幅を広げてみる。 妄想が多分に入り込むが、むしろ積極的に利用して、現在与えられている情報以上の領域まで解釈を試みる。 また、今後の Phase でどのような展開があり得そうかも可能な限り予想してみる。


もちろん必然的に根拠には欠しくなる。
独断や偏見・メタ推理など『不純物』が入り込むので、純粋な「推理モノ」としての考察からは程遠くなるかもしれない。 しかし、「もし、こうだったら面白い」というアンテナを色々と張り巡らしておくことは、個人的に悪くないことだと考える。 真相を言い当てることはできなくても、核心となる部分の近くをかすめることぐらいは可能かもしれない。



推論は、「点」ではなく基本的に「面」で放つ。
推理の「弾幕」を撃つように考え得る可能性を全て列挙する。
これが「なく頃に」のゲームをプレイする時の作法である(と筆者は考える)。

とはいえ、ゲームマスターは明確な答えを用意しているのである。
風呂敷を広げっ放しで「どれか当たればラッキー」というのでは面白くない。

そこで、列挙した可能性の中から、最も有力な(面白そうな)ものを選び、
それを元にした一本筋の通った解釈を、現段階での私的見解としてまとめることにする。

あくまで、筆者の個人的な見解であり、他人に強要するものではない。
「解釈違い」だという方も、「ふーん、まあ可能性としてはなくもないかもね」くらいに大目に見てほしい。




「妄想で再解釈したキコニア世界」 そこにはどんな景色が見えるだろうか?



さて、素材はそろっている。
どれだけ美味しく「料理」できるだろうか。

他愛もない妄想ではあるが、しばしお付き合いいただきたい。







● 筆者プレイ歴

2017年 うみねこのなく頃に(出題編・散・翼:原作PCゲーム)、最終考察 うみねこのなく頃に(Keiya著)、うみねこ Ep.8(漫画版)
2018年 ひぐらしのなく頃に(出題編・解・礼:原作PCゲーム)、最終考察 ひぐらしのなく頃に(Keiya著)、雛見沢停留所(漫画) 、彼岸花の咲く頃に(PCゲーム)、ローズガンズデイズ(PCゲーム)
2019年 キコニアのなく頃に(Phase 1・steam版)、竜騎士07インタビュー(本)





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